そして竜は笑う

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「やっぱりさ、人生ってのは虚しいと思わないか?ちょうっと腹が空いてリンゴを食べただけで罪人扱い。こっちは死にそうだってのに、そんなのお構い無しさ。誰かに優しくされないってのがこんなに悲しいとは、嫌なもんだよ………」 ため息をつく男を見ながら、竜はげんなりとした心情だった。 早くこの状況が終わって欲しいと思う程で。しかし男はやめる気配はなさそうで。 「そうそう!前にもな、ある国で可愛い子を見付けたんだよ。あんまりにも可愛いもんだからさ、つい声を掛けたんだ。そしたら何て言ったと思う?『あたし、加齢臭する人って嫌いなの』だとよ。こっちはまだいい歳だよ、バカヤロー!!」 男の叫びが、虚しく空に響く。 「はぁあ。この頃、本当にいい事がないわ。なんでリンゴ一個でさぁ。こんな辺境にさぁ、来なくちゃいけないわけ?」 口を尖らせ、愚痴を延々垂れ流す。 そろそろ、我慢の限界とやらが来てもいいんじゃないか? 竜はそんな事を考えていた。こんな状況になって、結構な時間が経っていた。常人(または常竜)なら、怒り奮闘で男を殴り飛ばしてしまうかもしれない。
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