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猫はまた、私に話しかけた。
『――聴こえるの?』
「まあ、ね」
幸い、このあたりは人通りが少ない。猫と話すおかしな女子高生は、噂にはなりはしないはずだ。
私は少し笑って、寒さに体を震わせている猫のそばにしゃがみこんだ。
「なんで拾えなんて言うの?
怪我でもしたの?」
『…寒くて、動けないの。あとお腹もすいてきて。このままだと、アタシは衰弱して死ぬわ。アンタは最後の望みってわけ。
3時間くらい前からこんな感じだったから。
……春になったら出ていく。
アンタ、アタシを家においてくれない?
何もできないけど…話し相手くらいにはなれるから』
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