我が儘娘は修行中!

13/19
前へ
/23ページ
次へ
五尺五寸とは現代で言うと168センチ。 江戸の当時では150センチ程が平均身長だったため、かなりの長身である。 その彼を基準に風呂場の高さを考えるとは、なかなか頭が回るではないか… 設計図を見ながら、少しこの娘を見直していた。 そこへすかさず、職人が賃金の話を持ちかける。 「風呂は2~3日でできあがりますが…お代は10両でいかかでしょう?」 この時代の1両は6万円、この風呂建築には60万かかるらしい。 土方は建築の費用は知識がなかったものだから、「ほほう」と答えた。 しかし薫はいつもの無表情な顔で、こう答えた。 「えらく高いのですね? 職人3人の人件費、それに材料費込みで3日で10両。 どんな高級材料を使われるおつもりでしょうか… 薫はそんな殿様が入るような風呂はいりませぬ。 職人の賃金は一日に3人で1両、材料費は原価でお願いしますね。」 小娘の足元を見ていたら、逆に足をすくわれてしまった職人たち。 バツの悪そうな顔をしながら、いそいそと作業に取り掛かった。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

117人が本棚に入れています
本棚に追加