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「なんで相談しなかったんだよ…」
ぶっきらぼうにしか言えない自分が情けない。
そんな彼の言葉を聞いて、彼女はクスリと笑う。
「だって…
自分がお金を出すと言ったのに、そんな事言える訳ありません。
まったく足りなかったわけではないのですが…手持ちが無いのも寂しいでしょ?
まっ、正直新しい着物が欲しかったのですけど、古着でも可愛いの見つけてくださったので、とりあえず今は満足しておます。」
そして彼女はペロリと舌を出しおどけて見せた。
今日は彼女のいろんな顔を見て、土方はどう対処していいのかわからなくなる。
普段はたま涼しげな笑顔を見せるだけで大概無表情の彼女が、自分だけに見せる表情…
胸がトクンと高鳴る。
まだお互いにこの気持には気づいていなかった。
特に、薫は恋愛などしたこともなく興味もない。
前途多難な恋は、思いもよらない事で急展開する。
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