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「ああ…
そんな理由でしたら薫が用立ていたします。
金で解決できることは、金で解決するのが一番ですから。」
薫はもとの無表情に戻り、簡単にそう言った。
お金がないなら、私が出せばいい。
何より、不衛生な場所でこれから過ごすかと思うと目眩すら覚える。
薫は単純にそう思っていた。
「は?
お前さんが金を出す?
奉公人が、風呂を建てるとは滑稽だな。」
上から目線で言われたと感じた土方が、嫌味で返す。
こいつにゃまず上下関係を叩き込む必要がある。
それに、なんでも金で解決しようとする、その考えが気に食わねえ。
土方は鋭い目線を薫に送った。
「誰の金でも金は金。
ここが良くなるのであれば、雇い主だろうが奉公人であろうが関係ありませんよ。」
普通の隊士でも震え上がる土方の眼光も、なぜか薫には効かない。
無表情で淡々と答えた後、「明日職人に頼みますから」といい、早速八木さんところに風呂は借りにでかけてしまった。
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