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彼女は早速職人を呼び、近藤の部屋に「風呂建築願い」を出しに行く。
近藤は突然の薫の願いを聞いて、初めは驚いていたが、
「私も風呂が欲しいと思っていいたのだ!」
と嬉しそうに許可してしまった。
この男、単純である。
近藤のこの単純さ、もとい素直さが隊士の人気でもあるのだが、土方としてはもっとドッシリと構えていて欲しいと思う。
今回の風呂の件は薫の希望通りに建てさせてやろうと近藤が言うので、渋々土方も承諾した。
薫には風呂は屋敷の端に建てるように命じ、しばらく彼女の動向を見守ることとした。
薫は職人たちに我が儘を言っているようで、しかし意外と的確な指示を飛ばしている様子。
彼女の要求はこんな具合だ。
「湯船は大小一つずつ。
通気口も必ず作ってくださいね。
カビがはえたらいやですし。
それと脱衣場所も各々作って、内鍵がかけれるようにしてください。
入浴中に襲われるのは私はいやですから。
あとは排水がうまくいくように床面気をつけてください。
入口の段差はできるだけ無くしてくださいね?
夜暗いと転んでしましますし…
あとは…」
この後も彼女は壁の材料やらなんやらと細かく指定していった。
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