117人が本棚に入れています
本棚に追加
「さて、お風呂はこれで良いとして…
薫、少し町で買い物をしたいのですが、よろしいでしょうか?」
疑いをかけられているのに、屯所から出たいという彼女に、土方は怒りを通り越し呆れてしまう。
「駄目だ。
まだ仕事が残っているだろう!
遊びに行きたきゃ一通り仕事を覚えてからだ。」
厳しく言い放った土方に薫はきょとんとし、そして笑いだす。
そう、あの涼やかな笑顔で。
「うふふ…
流石に来て二日目で遊びに行こうとは思ってません。
ただ…
ここにくることが急に決まったものですから、数枚の冬服しか手持ちがないのです。
もう四月も終わりですし、夏の着物をこしらえたくって。」
着物の袖で口元を抑える彼女の仕草に、土方は思わず顔を赤らめた。
最初のコメントを投稿しよう!