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赤い顔を見られまいと土方は彼女に背を向けぶっきらぼうに答える。
「昨日も話した通り、この組は現在資金不足である。
したがってお前さんだけ綺麗な服は着せられない。
それに、皆忙しい。
かと言ってお前を一人で外出はさせられん。
しばらく、ここで仕事に精をだすんだな、わかったな?」
先日、大阪のとある両替商に100両提供させ、隊服や隊旗を揃えたばかり。
現在は組の規定の制定にやっと取りかかったところであり、立ち上げたばかりの壬生浪士組はてんやわんやであった。
そんな中現れた、会津から来た娘に時間は多く割けれるわけがない。
土方は彼女の答えを待たず踵を返し、自室に戻る。
薫はそんな彼の後姿を眺め、しばらく何か考えて込んでいた。
そしてしばらくして、職人達に一言二言声をかけたのち、業務に戻るべく彼女も小走りに駆けて行った。
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