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お風呂は天候が良かったお陰で本当に3日で出来上がる。
隊士達も興味津津で、風呂場を覗き見ているが、いかんせ近藤局長がまだ中を見ていない。
もう一人の局長芹沢鴨にも声をかけたのだが、「入らない風呂を見てもつまなぬ」と断られてしまった。
しばらくすると、薫を引き連れた近藤が現れた。
「これが、浪士組の風呂かあ!
うう~ん…木の香りがたまらぬな!」
中に入ると満足げに、湯が入っていない湯船に入りこむ。
まるで殿様が湯船に浸かっているかのごとく、どんと腰を下ろした。
「皆に衆!今夜はさっそくここに入ろうではないかっ!」
隊士達の喜ぶ顔を見て、ますますニコニコご満悦の近藤に、薫は涼やかなあの笑顔を向ける。
そんな二人を少し離れた所から土方が見ていた。
急に薫が振り返り、後方にいた土方の存在に気付くと軽く会釈して、その場を立ち去った。
…んん?
そういや、あいつの今日の着物、見たことない柄だな?
というか夏物ではないか?!
知らないうちに屯所を出やがったのか?!
そうならタダじゃおかねえ!
薫が向かった先へ足を速めた。
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