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さて、後は会計を済ませるだけである。
レジへ行こうとした時、暇そうにしていた妹がカートを略奪した。
「私がカート持つから、あんた前歩いて」
まあ分からないことはない。俺も小さい頃はカートを押したがったものだ。まあ殆どこいつに持っていかれたがな。
ガキめ。
と言う訳でレジだ会計だ。
時間が時間なので、そんなに人は並んでおらず、運良く会計中の一人だけのレジに並べた。
「割と早く……あん?」
パッと振り返って見ると、そこには妹の姿は無かった。代わりに知らないおばちゃんが突っ立ってる。
いや待てよ。我が妹がおばちゃんに変異したって可能性は無かろうか。いや、あり得る。あの妹なら、荒れ地に住んでる魔女に年を取る魔法をかけられたって仕方がないだろう。
でもまあそんなことはなく、おばちゃんは左手で右の方を指差した。その先には、お菓子コーナーへ駆け込む妹の尻が見えた。多分カートも一緒だろう。……情けない。
おばちゃんにおじきをして、お菓子コーナーへ駆け足で向かう。
せめてカートを置いてけよと心が叫ぶ。
「おい、おま――、」
お菓子コーナーに入ったと同時、絶句した。
お菓子コーナーには、棚のお菓子を物色するいも――幼女が居たのだ。しかもさっきの幼女。
幼女……っ! 圧倒的幼女……っ!
位置関係的には、幼女が手前にいて、妹がその向こうにいる。正直どうでも良い。幼女さえいれば。むしろこの子を妹にしたい!
幼女は無垢な瞳でこちらを見上げていた。そして我が妹は冷めた眼でこちらを見下している。
「あんたヤバイよヤバイ、主に眼が」
「はっ! 可愛い部位が皆無なお前みたいなやつがなにガットッ!!」
ガン!と音がしたのは覚えてる。けど、何が起きたのか分からない。
数瞬後に脛に襲い掛かる激痛で、カートが再び脛を襲ったのだと悟る。痛ぇマジ痛ぇ!
「さっさといくよ」
「幼女ぉ……幼女ぉ……」
妹に首を絞められ、呻きながら去っていく高校生を、幼女は不思議そうな顔で見送っていましたとさ。
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