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頬を摩りながら立ち上がると、ふと視界の隅に光るものが見えた。
そう、それは先程まであの馬鹿が使っていたパソコン。
流石にゲーム画面では無い、が。
「……シャットダウン位しろよ……」
ここ最近パソコンに触った覚えが無い。
なぜなら常に我が家の妹様に占領されているからだ。
とりあえずマウスを動かし、シャットダウンと書かれたボタンをクリックする。
と、途端にディスプレイの中に表示されていたアイコンが全て消え、シャットダウン中であることを示した清々しい水色の画面に移った。
その画面に切り替わったことを確認し、視線を外したその時、ピン留めが何本も側面に刺さっている奇妙な鏡が見えた。
いや、正確には鏡に映った自分が見えた。
鏡に映る赤茶の短髪にゴツイと言われる顔。その下には、ガッシリとした肩が続いている。それが俺、達三谷 庵(たちみや いおり)。
……俺はこの顔が嫌いだ。正直、もう一度生まれ直したいとさえ思う。
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