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「ただいま。」
返事は無い。
いや、返事はあるはずが無い。
僕以外にこの家に住んでいる者は居ないからだ。
家族なんてものはない。面倒をみてくれる人も居ない。
僕はずっと一人だった。
僕の両親は事故で他界。引き取ってくれた親戚は次々と病気で死んでしまった。
その結果僕は血の繋がっている人達からは死神と呼ばれ、忌み嫌われ、一人暮らしをしている。
まぁそんなことはどうでもいいことだ、と思いベットやタンスなど生活に必要な物しかない質素な自室へと入っていった。
ベットに寝転がりながら僕は今までしたことが無いと言っても過言ではない考え事にふけっていた。
なぜだろう。
僕は病院で見た女の人のことが頭から離れないでいた。今までこんなことはなかった。僕はこの世の全てに無関心でいようと決めていたのに…。
たった一人の女性に揺らいでしまった僕の生き方…、僕はその女性に対し、不安を感じていた。
早く忘れよう。
そう思って僕は目を閉じた。
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