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塀からのぞけば青々とした草花 涼しそうな風の抜ける和室と縁側 そこだけ、時代が切り離されたような空気が違った まるで取り残されたように 異世界のように …カランッ 下駄と地面かぶつかる音 「おや?珍しい客人だね」 「!?」 振り向けば着流しを崩したひょろっとした黒髪の男がいた 陶器のようななめらかな白い肌 熱のないような手足 動くたびに見えるその肌 漆黒に染められた髪 黒真珠のような瞳 赤紫色の着流し 綺麗で、 あまりに綺麗で 背筋がぞくりと震え喉の奥から言葉がつまる
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