6/9
前へ
/24ページ
次へ
表札を盗み見れば村崎と書かれている 「む、ムラサキさん…?」 「そう呼ばれるのは新鮮だなぁ。 もう、君はここにこないと思っていたから」 そう言ってへらりと笑い、隣を通り過ぎる あまりにその動作は簡単で冷い。 「おいで。お茶ぐらい出してあげるよ」 はい、と小さな返事をして彼の後についていく 冷たい彼は私の一体なんだろう どうして、私はここにきてしまったんだろう ふわりと甘い線香の香りと 煙草の苦い香りがした
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加