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落ちた私はゆっくりと目を開けてみたら、血の池の中なのに目が開けれたのです。息もちゃんと出来る、でもごぼごぼと空気の玉が血面にぼこりとなる不思議な空間…
底には先程の死者達が奇声を放ちながら私を見上げて、皮膚が無く骨が剥き出しになった手で私に掴まろうと捕まえ様と伸ばしていたのです。
そう、まるで地獄のような光景。
すると何かが私の後ろに迫って来るのが分かったのです。私は後ろに向き直りました…──
「ごぽ……っ」
『美しき眠り姫』
肋骨の真ん中の少し下、溝内に覚えのある痛みと熱。
突き刺さるのは銀の装飾がしてある巨大な針の様なモノ。刺したソレの声は確かに帽子屋なのです、でもソレは人の形を成しては居ない<何か>なのでした。
その姿は醜く奇妙。
怪物や化物と言うには生温い異様なソレ…
『人ヲマドワスソノ音色』
─ごぽっ、
『サメナイ夢を見続ケテ』
「っ…」
『深イ闇ヘとオチル』
パチン と 音が私の頭に響いたとほぼ同時に目が覚めたらまた天井。
刺さった所にはまだ微かな熱。そこはあの針で刺された所、服には穴。確かに刺さった後があるのです。
『契約は成立デスね』
「……帽子屋」
『はい、承知しておりますよv』
ニヤリと気味の悪い顔で笑う。
『腕は彼で宜しいですね』
彼とは、私の唯一の友人である男性。
アイウェル。
彼は私が腕を無くした時に彼は自分の腕を差し出すと言った、私の為にと。だから貰うのです、彼の行為に甘えさせて頂くのです。
私の腕…
此で私は此処に居なくて済む。
そして、私は
「帽子屋」
『はいV』
「私は神を殺すのです。
この世の全てを私の想い通りな世界にするのです、全てが私の傀儡としてその全てを私が握るのです」
神を殺す。
生者を死者へと
そして
私は私で居られれ
感情も何も無い
只、
暗闇の世界
それが、私が帽子屋と契約を交わした理由。
全てが目障り。
消してみせるのです。
鬱陶しい光を。
〈美しい眠り姫
人を惑わすその音色
狂おしい程に
紅く紅く光る瞳は
臓を射抜く様に
美しい〉
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