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『流石』
「計画性は大事、だろ?」
ヘラリと朕に笑う彼は人間の子供が自慢気にするみたいに無邪気。
でも何時もお隣に居る白いのが居ない。
『白が居ないね』
「あー、解除した」
『どうして。また?』
「俺もそろそろ潮時だ、後は彼奴自信に…息子に全て任せるんだよ。
それが掟だからな」
呟く様に言うと、彼は懐から煙管を取り出して一息する。勿論術で出したんだと思うけどね。ふぅ、と息を吐くと煙も一緒に吐き出される。
間を少しだけ置いて、朕は彼に近付く。
朕よりも背は高い。
「何だ、欲情か(笑」
『だとしても朕には靡かないでしょ』
「まぁな」
朕の頭をぽんぽんってする。
あ、子供が良く親にやられていたなそう言えば。て事は朕は彼にとっては子供って事でイイのかな?
面白いなぁー
そう言えば朕は彼は知っていても名前は知らなかったなぁ。<月の遣い人>そう答えるだけで名前は教えてくれなかったっけ?
『ねぇ、名前』
「ソレ聞くのか」
『教えて?
君の名前、月の遣い人の名前』
面倒くさいそうに眉間に皺を寄せると、朕から離れた。
「俺の名前なんざ聞いてもどーにもならねぇよ。国を捨てた酷い野郎だからなぁ、俺」
『へぇ』
「じゃーな、黒」
そうして、彼は朕に背中を向けて進んで行った。まだ暗い真っ暗な影に消えて。
でも一つだけ解ってる事が朕にはある。
彼の匂い。
簡単に言うと甘い匂い。人間が持ってる匂いで、その中でも甘い匂い。朕はその人間を彼ともう1人知ってる。
彼と同じ髪色で彼よりも華奢な人間。
そうだ、カゲツがお世話になってっるって風の噂で聞いた。勿論見たこともある、だから匂いも覚えてるの。
『水無月』
羽根を出す。
漆黒の朕自慢の羽根。
さてさて、ちょっとだけお散歩でもして来よう。
〈今宵月は美しいよ〉
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