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夏休みの件
教師たちは、それが原因ではないかと
話していた。
夏休みの件。
部活動に遅刻した私は、
変質者に遭遇したのだった。
ぬくぬくと生きてきた世間知らずのガキ。
ブラジャーも着けていない、油断と隙だらけの女子中学生。
女ではない。
まだ女ではなかった。
でも。
「それは関係ありません」
そんなんじゃない。
あんなことのせいで
狂ったなんて言わないで。
「何とも思っていません」
私の声は、
私の耳には、
殆ど聴こえない。
目の前にいる、教師たちが、
どうか聴こえていて
聞いていてくれますように。
頭を下げながら願う。
惨めで、虚しかった。
私は立てる。
歩けるし話せる。
私の言葉は、
狂人の言葉ではない。
どうか信じて下さい。
私は病気なのかもしれなかったけれど、
おかしくなんかない。
誰になら、
私の声が届くのか、
知っているのなら、
教えて欲しかった。
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