発病

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祖母は私を庇い続けた。 「検査で判らなくたって、仮病じゃないことくらい解るだろう。解ってやらなきゃ誰がこの子を守るんだ」 両親は、祖母を怒鳴り付けて和室に追い払った。 和室からは、 亡くなった祖父に話しかけ、孫を助けてやってと頼む祖母の弱々しい声が聞こえてきた。 弟たちは耳を塞いで 部屋に隠っている。 私は謝ればよかったんだろうか。 私が困らせている人々全員に。 叔母が襖を蹴る音がする。 父が叔母を怒鳴り付けに行く。 私は馬鹿みたいに居間に立ったまま、 残った母を見る。 母は憎らしげに 私を睨んだ。 お母さんたちが いったい何をしたって言うの? あんたは なんの恨みがあって メチャクチャにするの? 弟の部屋から、 大音量の激しい曲が流される。 多分弟たちの 悲鳴なんだろう。 目を潰して鼓膜を破ろうとした私に、 祖母は言った。 「利栄や、おばあちゃんが生きてる限り、おばあちゃんの為に生きていておくれ。お前は今のままじゃないよ。必ず元の、元気で優しい利栄に戻るから」 こうして書いている今、 たまらなく祖母に会いたい。
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