ある午後の日(志摩柔造)

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「やっぱりええなぁ、ちぃちゃい子は」 「そうだね」 2人して緩みっぱなしの顔をしながら暖かな日差しに照らされる。 いつか柔造の子どもを産んで、こんな幸せな時間を過ごせたらいいなぁ。 ふふ、っと別の世界へ旅立っていた私を柔造の声で現実へと戻された。 「なんや、幸せそうな顔しとるんやなぁ」 赤ちゃんにするのと同じように、私の頬っぺたを優しくつつく。 「幸せ、か。そうだね、私柔造の赤ちゃん産みたいなぁ」 「千歳…お前…」 ふっと笑顔を向けると、可愛すぎるわ!と柔造に赤ちゃんごと抱きしめられた。 「じゅ、柔造!赤ちゃんつぶれちゃう!!」 「あ、せやった!すまん!」 あわてて離れた柔造はもう一度、すまんと言って笑う。 「もう、大丈夫だった?ごめんねぇ」 よしよしと赤ちゃんをあやすとまたキャッキャと声を上げて笑った。 「千歳と俺の子、かぁ…」 絶対かわええやろうなぁ、そう言って柔造はニカッと笑顔を向ける。 「ふふ、顔が緩みっぱなしだよ、パパ」 「へっ?」 「あら、今度はパパ間抜けな顔になったよ」 ねー、と腕の中にいる赤ちゃんの頬っぺをツンツンとつついた。 「あーぅ!」 「あなたもそう思うの?かわいいなぁ、もう」 キュッと抱きしめていると、赤ちゃんごと私を何かが優しく包み込む。 「ほんまに、可愛すぎや」 今度は力強くなんかじゃなく、優しく優しく包み込むように柔造に抱きしめられていた。 「いつかきっと、俺の子産んでや」 耳元で囁かれ、こくりと頷くと柔造は私たちからそっと離れる。 「約束やからな」 「うん」 私の腕の中、いつの間にか眠ってしまった赤ちゃんの寝顔を2人でそっと覗き込む。 ある暖かな午後の日。 少し先の未来を夢見て、私は幸せな時間を柔造と一緒に過ごしたのだった。 【ある午後の日】 ……………………………… 柔兄は絶対にいい お父さんになると思う! .
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