黒ノ謳

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時が止まったある国の 小さな小さなお姫様 大きな鐘が3度鳴る 姫の朝が始まった 急いで仕度をしなければ 従者に見付かるその前に お腹が空いたお姫様 透き通るような鐘の音が 響かせながら2度鳴る 急いで食べる生物を 時が止まったある国の 小さな小さなお姫様 姫自身が国の時計 逆らうものは打ち首 綺麗な音色の鈴が鳴る おやつの時間を知らすべく 王女は甘い香りに包まれて 民は水と雑草を 幸せに満ちたお姫様 チクタクチクタク…時刻み 幸せすぎて気付かない 鼓動が乱れた針の音 小さく狂った歯車に 国に響く鈴の音2度鳴る 仕度を終えたお姫様 夢へと続く幸せ胸に 従者に見付かる前に… 城下でなる鐘4度程 民の終わりを告げる鐘 昨日の違反者3人と 少し不満なお姫様 黒ノ着物身に纏い 怒れる声で囁いた 『逆らう者はみせしめ』と 時が止まったある国の 小さな小さなお姫様 黒の着物を赤く染め 満足そうな笑顔で囁いた 『全ての命は我の為』
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