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さて。そんなこんなで始まった、私の空手部生活ですが、障害はたくさんありました。
まずは、顧問の先生です。
「とっ、戸崎 神無ですっ!ヨロシクお願いします!!」
多くの空手部員さんたちに見守られながら、私は職員室いっぱいに響く大声で、自己紹介しました。
その後ろで、なぜか何かのコントの様に素晴らしいこけっぷりをセンパイ方は披露してくれましたが。
「はぁ、君が初の女子部員ですか」
きーんとする耳を抑えながら、顧問の板橋(いたばし)先生は、そう言いました。
名門校の顧問とは思えないくらい、のほ~んとしてる中年のおじさんです。
「うむ。君は、空手がしたいのかい?」
のほ~んとしたままで、聞かれます。
「はい!モチロンですっ!!」
私は再び、大声で答えます。
「ふむ。なら、僕は許可するよ。頑張ってね」
なんとも自主制に任せた適当そうな先生ですが、目の奥でキラリと光った「強さ」を、私は見逃しませんでした。
「はい、頑張りますっ!」
今日一番の発声に自分の耳までキーンとしました。
とりあえず、第一関門クリアです。
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