卯月

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『おは…って誰も居るわけないよなぁ。』 元気よくドアを開けながら挨拶しても、うんともすんとも返ってこない。だってまだ朝のLHRまで一時間もあるから誰も来てないし。 教卓まで行って自分の席を確認する。 昨日、クラス替えしたばっかで席覚えてないからね。 『桜卯りさ』 それが僕の名前。 春っぽくて、のんびりした感じが気に入ってたりもする。 名前を見つけて席を確認してみたら真ん中の列の後ろからの二番目というナイスな席だった。その席に座って一息つく。 『もう…二年生かぁ…』 僕がこの[青江高等学校]に入学してから一年経った。 そさて今日から新しいクラスメイトと共に二年初めての通常授業を受ける。 そういえば、僕はまだクラスメイトを把握してないって事を思い出し席から立って名簿を確認しに行こうとした…その時 「おはよう!」 いきなりドアが開いたかと思うと、同じクラスである西村未沙が元気よく教室に入ってきた。 ちなみに未沙は可愛らしい容姿とは裏腹にえげつない腹黒さをお持ちな僕の大親友。 『おはよ、未沙。クラスメイト一緒に確認しよ。』 「うん、いいよ。」 未沙は自分の席に荷物を置くと、すぐに名簿が置かれた教卓までやって来た。 「…いうて、変わってないよな。」 『そりゃあADコースは二クラスしかないし。』 青江高等学校は滋賀県にあるのほほんとした市立高校。 学校の方針で四つのコースに別れているから、生徒数は多いものの一つのコースに一~三クラスしかない。 ADコースは二クラスあって、それが四組と五組。 五組は所謂頭の良い人の集まりで理系と文系のMIXクラス、そして僕と未沙の居る四組は文系だけのクラス。
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