卯月

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携帯のディスプレイを見て、いつも通りかなり時間に余裕な事を確認して僕はのんびり歩く。 校舎までの道のりを飾る大好きな桜の香に包まれて、今日からまた始まる新しい高校生活に想いを募らせてみて自然と笑みが零れてしまう。 去年一年間通い続けたこの通学路も、何故か新学期なだけあって新鮮に感じるから春って本当に不思議だよね。 学校の下駄箱に着いた僕は下駄箱に靴を入れて教室に向かう。 『おっと、間違えた。』 ふと自分が階段を昇ろうとしているのに気付いて慌ててUターンする。 去年は四階だったけど今年から教室は一階なんだったっけ。 周りを見渡して、誰にも見られなかった事に安堵して気を取り直して教室に向かう。 そして、[2A4]と書かれた教室のドアを開けた。
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