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自分が寝ているところを誰かに見られるなんて、なんだかムズムズして、落ち着いて眠れない。
……寝顔、見られたくない。
だからあたしは、布団を顔まで覆ってみたけど、中がドンドン熱くなっちゃって無理だった。
「寝れないの?」
「……見られてると、寝れない」
あたしがそう言うと、リュウはふふ、と小さく笑った。
「嘘だよ。愛子はどこでだって寝るじゃん」
「寝ないもん」
「この前だって無防備にもソファーで寝てたし」
う……それは、確かに。
「俺はもう何回も愛子の寝顔見てるから」
「見飽きた?」
「いや。全然」
優しく笑うリュウに、胸がザワザワ騒ぎ立てる。風が吹いた時の、森がカサカサなる音みたいに、騒がしく。
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