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どうして、わざわざ買いに行ってくれたんだろう。
どうして、あたしのために。
「あとで、お礼言っておかなきゃ、な……」
「すごく心配してましたよ、彼」
千代さんはふふふ、と楽しそうに笑うと、あたしを見た。
「やっぱり、これも何かの縁なのですかね……」
「縁?」
「いえ、なんでもありません」
千代さんは独り言のつもりだったらしく、あたしに突っ込まれてちょっと戸惑ったようだった。
縁……か。
偶然出会って、血も何も繋がりもなかった人たちが、こうして過ごしている。
それは逆に、偶然ってよりも、何か強い力に引かれているような気がしてならない。
あとでリュウが帰って来たら、ゼリーを買った場所、教えてもらおう。
そんなことを思いながら、あたしも一口、お茶を飲んだ。
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