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しばし固まっていると水を汲んで来た教官がすぐ傍に戻ってきていた。
「どうしたんだ?固まって」
声にハッとしたライナスは咄嗟にフリードの服を元に戻した。
「ぁ、いえ…」
「服を脱がしてみたか?傷痕は…」
大丈夫でした。と嘘をついてフリードを抱き上げる。
いつも細いと思っていたが、女とわかってさらに細くて軽くて壊れやすいとモノなんだと感じた。
「と、りあえず俺らは村に帰ります。」
そうか、と教官は頷き一枚の小さな紙をライナスに渡した。
「君のその腕、小さな村で腐らせるには勿体無い。…もし、私の騎士団にくる気があるならこの名刺を持っておいてくれ。きっと役に立つ」
教官は捕らえた盗賊達を持ち上げ、米俵のように担ぎ去っていった。
「そうだ…帰ったらお前をちゃんと手当てしないとな…」
村に帰ったのは日も落ちた夕暮れ時だった。
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