第Ⅰ章:小さな勇気

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「なんだ、起きてるじゃないか!」 小柄で線の細い幼なじみが大きな音を立て、扉を開ける。 「朝から元気だな、お前は」 「元気だけが取り得と言ってもいいくらいだからな!!」 この騒がしい幼なじみはフリード。剣術の練習に付き合わされてはよく負かして怒られた。 「そうだ、一大事!!ちょっとついて来いよ」 「どうした、買っているブヒブヒオーがこどもでも産んだか?」 「あ、いや、あいつはまだ先に…じゃなくてもっと大変なんだ!」 剣ばかり握っているフリードの硬い手が俺の手首を掴み、無理やり引っ張って連れていかれる。 遠くで母親が呑気にいってらっしゃいと微笑んでいた。 「みろよ。昨晩やられたらしいぜ」 連れて来られた場所は村外れにある一人暮らしのおばさんの家。 畑がぐちゃぐちゃに荒らされている。 「ちょっと、おばさんこれどうしたんだ」
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