scene.1

2/11
12259人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
「や……、これ以上は……無、理……」  彼は、崩れ落ちそうになったわたしの身体を、自分へと引き寄せた。  そう言ったわたしを黙らせるためなのか、長い指を二本口に挿し入れる。  その指ですら舌を弄んで刺激を与えるから、声を我慢したと同時に、思わずその指に歯を立てた。 「ちょ、美亜……。本気で噛まないでよ」  彼はわたしの耳元で、笑いを含ませた声で囁く。 「だって……、も……本当に、無理……」  途切れていきそうな意識の中でそう言った時も、彼は動きを止めてくれなくて、かろうじて留(とど)まっている意識は、ゆらゆらと揺れて朦朧としていく。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!