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「ラルク! 起きなさい!」
1階から、母親の声が聞こえてくる。
「うーん……」
赤い髪に、魔族の証である青い瞳を持つ彼―― ラルクは、ゆっくりと目を開いた。
起き上がろうとしたが、強烈な睡魔がラルクを襲う。
「もうちょっと……」
ラルクは布団を深く被り直した。
「起きなさいったら!」
階段を上がる足音が聞こえてくる。
足音が部屋の前でピタッと止んだかと思うと、ドアが勢いよく開いた。
「いつまで寝てるのよ! もうお昼よ」
「起きるよぉ……」
ラルクは起き上がり、大きな欠伸をした。
「ちょっとおつかいを頼んでいいかしら?」
「おつかい? 【アスリエ】まで?」
「うん」
ラルクの住む、この【ステール】の村は山奥に位置しているため、食料を調達するには山のふもとにあるアスリエの町まで行かなくてはいけないのだ。
「わかった。行ってくるよ。たまには親友の顔も見に行きたいし」
「じゃあ、お願いね」
ラルクはメモとお金を受け取り、アスリエまで向かった。
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