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出会って間もないというのに、険悪だなあ。
「お主はどっちがいいのじゃ!?」
「先生はどっちがいいんですか!?」
二人同時に言った。俺に、言った。俺に?
あれ?なにこの死亡フラグ。
ちらりと、ノアを見る。普通に怖かった。鬼も斯くやの形相で俺を睨み付けている。最早、ただの脅しだった。
視線を移して、ファイを見る。逆に怖かった。不自然に自然な笑顔を振り撒かないでほしい。悲鳴を上げなかった自分を褒めたいところである。
「まさかとは思うが翔馬よ、あの小娘を選ぼうものなら、どうなるか分かっておるのじゃな?」
何をされるのか、逆に分かったものじゃない。
まあ、デッドエンド確実ではあるだろうが。
「せーんせい、こんな見た目幼女より、私の方が先生を喜ばせてあげられますよ?いえ、悦ばせてあげられますよ?」
いや、言い直されても、漢字の違いとか分からないから。
それより、あなたは一体何をする気ですか。
「耳年増小娘の言う事なぞ聞くでない。お主は黙って妾を選べばいいのじゃ。お主は妾の人形じゃからな」
「やっぱり先生も何だかんだ言って、溜まってますよね?すっきりしたいですよね?でしたら、私ですよね?ロリ婆なんて、奉仕のほの字も知りませんからね?」
互いに酷い言い草、酷い言われようである。
だから、あなたは一体何をする気ですか。
「翔馬!」
「先生!」
あー、これどうすっかなあ。どっち選んでも死ねるしなあ。
だったら、選ばない事を選ぶべきだろう。
「あ、用事思い出しちゃった。また後でなっ!!」
まあ、姑息な暫定措置だけれど。その場しのぎの時間稼ぎだけれど。
いつかほとぼりが冷めると信じて、俺は二人から逃げるのだった。
「……ととっ」
身の安全を確認し、俺は街をほっつき歩く。
ファイのお蔭で、損害はさほど酷くない。数ヶ月もすれば元通りだろう。後で、改めて褒めてやらねばなるまい。
……何やらイケナイ要求を迫られそうで、気が引けるが。
そんな未来を想像して、思わず苦笑したところで、見覚えのある顔を見つけた。
ここから少し遠く、距離にして百メートル程だろうか、そこに、リンが居た。
いや、まず目についたのは、数人の男子。その輪の中に、リンが居たのだ。
リンはへたれ込んで、反抗的な目で睨んでいるし、男子たちはヘラヘラ笑っている。友好的でない事は明らかだった。
これは、口を挟むべきだろうか。当人たちで解決出来るなら、それでいいのだけれど。
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