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「実はこのSC7に須田勇気(スダユウキ)君って子がいるんですね?この子です。」
俺の持ってるパンフレットを指差す藤嶋さんはそのまま続ける。
「実はこの子が桜さんと同じ病気に掛かってしまったんです。」
「……突発性、染色体及び体内ホルモン変異症候群。」
「はい。」
「でも、それで何で藤嶋さんが私のとこに来るんですか?
病気なんですから個人の問題ですよね?」
一瞬間を置いて、藤嶋さんは鞄から名刺を取り出して俺に渡す。
「私は今、ここで働いているんです。」
「国立高等生物研究所?」
「表向きはそんな名前になっていますが、この病気についての研究や患者さんのケアなどを行っています。」
「あ、スゴイ!
部長じゃないですか!」
「いや、まぁ。
たまたまです。」
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