留学生

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放課後、まっすぐに自宅に戻り…市と待ち合わせした場所に向かう。 普通に町の遺跡の地下だ。 昔、神がまだ天罰を恐れ信心深かった人間と深い関わりを持っていた時代の遺跡である。 ちなみに、ここも立ち入り禁止だ。 町の人間は壊して市営の住宅地にしろと言うが、市長が黙らせた…何をやったか知らないが。 それにしても、市民に厳しい市長である。 事情があるとはいえ…全く町の人間の意見を取り入れない体たらく。 とはいえ、町の人間の言うことばかり聞いていたら政治もクソもない。 民主主義は酷い制度である。 いや、責めるべきは隠さねばならぬ超能力者の秘密の始末か。 超能力者の隠蔽体質は、この国の民主主義と基本的人権を破壊する。 どちらにせよ、ろくなもんじゃない。 「よろしくお願いします。」 慎悟は調査隊の全員に頭を下げた。 調査隊は全部で5人…慎悟一人でも何とかなる。 「よろしくお願いします。 私は有築 和敏(ありつき かずとし)。 それから…。」 奈緒の父親がリーダーらしい。 彼がメンバーを次々紹介していく。 ちなみに奈緒は3人姉弟の長女だ。 小学6年の弟と、4年の妹が一人ずついる。 で、結奈は一人っ子だ。 一通り紹介が終わると、慎悟は調査隊のメンバーを一つに集めた。 「では、これから全員で異世界に転移します。 手を繋いでまとめて移動するので、決して手は離さないようにして下さい。 移動先のことも分かりませんので、絶対に単独行動は禁止です。」 とりあえず、穴を開けて移動するだけだ。 行った異世界がどんな場所かだなんて慎悟にすら分からない。 「分かった。」 有築隊長が頷く。 慎悟は有築隊長の手を取り、隊長は調査隊の手を取る。 とりあえず円形に並び、慎悟がチカラを集中した。 渡り橋のチカラを使うのだ。
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