14人が本棚に入れています
本棚に追加
「僕ですか?」
コリンからのご指名に戸惑う慎悟。
「そうですね…同じ年だと話しやすいだろうし。」
暗に転校生にしろと有築調査隊長は言っていた。
今回の重要任務である。
「有築さんが言うなら…。」
本当は、多少気乗りしないのだが仕方ない。
割り切るしかなかった。
「僕は楓座 慎悟。
コリンさん、僕らは様々な世界の文化と技術を調べているものです。
よろしければロプセンベルクのお話も聞かせて下さい。」
慎悟はコリンに頭を下げた。
「僕に教えられることなら構いませんよ。」
すんなりと話が通った。
国はともかく、かなり友好的な人物らしい。
その後、コリンは人気のない公園に慎悟を誘った。
ロプセンベルクは基本的に平和なもんだが、この世界最高の軍事国家でもあるので事あるごとに戦争のお声がかかるという。
また、兵士の大半はロプセンベルク王のような英雄に憧れて各地から集まった若者が多い。
基本的に刃物を抜くので、気安く話しかけると危険とつけ加えた。
「刃傷沙汰が好きなんですよ…この国の兵士は。
英雄に憧れていますからね。」
コリンは単に明るいだけではなく、意外に自嘲的なところがあった。
彼は今でこそそれなりに動けるが、幼い頃は身体が弱かった。
友達もなく、本を読んで過ごす事が多かったらしい。
だからほとんど家から出なかったのだが…そのせいか、今でも友達は出来なかった。
慎悟も友達がほとんどいない。
全くいないわけではなかったのだが、友達が少ない寂しさを少しは理解しているつもりだ。
そう思うと、親近感が沸いてきた。
最初のコメントを投稿しよう!