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「英雄?」
英雄について聞いてみる。
「この国の国王ですよ。
200年前に活躍した英雄の子孫が現在の国王です。
そういえば知らないんですか?
誰しもが知っている…有名な話なのに。」
どうやら知らないと失礼に当たるらしいほどの一般的な知識らしい。
慎悟は少し困ってしまった。
「いや、異世界から来たもので…無知ですみません。」
本当のことをぶちまけた。
その方が話がしやすいと思う。
「ああ、なるほど…それはそれは遠いところを。」
魔法にも詳しいらしく、コリンはあまり驚かなかった。
魔法にも詳しいなら普段は存在しないと思われる異世界にも理解が早い。
「ロプセンベルクはあまり観光に向いた国ではないのでね…アップルパイぐらいしか出せませんが。」
軍事国家に観光を期待しても駄目だと思う。
コリンによると、この世界はエンフォートと呼ばれ、ロプセンベルクはその北東の山岳地帯に存在する。
エンフォートは剣と魔法の世界…また、冒険の世界でもある。
ロプセンベルクの山岳は難攻不落の要塞で、資源は少ないものの守りは固い。
エンフォートは600年もの間ある魔力を持ったカードの奪い合いを繰り返してきたため、戦争が止まることはない。
その中で国として確固たる影響力を持っている、珍しい場所。
なかなか物騒な世界なのだ。
「600年間も戦争を…?」
よく疲弊しなかったと思う。
「人間はタフですから。
もしかして、あなた方の世界は穏やかなのですか?」
少し外れた回答を、コリンは返してきた。
「穏やかといえば、穏やかです…戦争という戦争はありませんし。」
一部、例外はあるが。
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