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「少し見てみたいですね。
そちらの世界にお邪魔出来ますか?
知り合いには伝えておきますので。」
向こうから食いついてきた。
確かにコリンは、戦争が好きなタイプには見えない。
来てくれるなら、願ったり叶ったりだが…。
剣と魔法に生きる軍事国家の人間だからな…常識の矯正が必要かと。
キレて魔法で学校の校舎をぶち抜かれても困る。
市長は何も考えず連れて来いと言うが、そのあたりのことを考えたことがあるのだろうか?
しかし、仕事で来ているんだから慎悟には選択の余地はない。
「構いませんよ。
いくらか研修を受けてもらえれば。」
こう言うしか出来ない自分がちょっとだけ悲しい。
「ありがとうございます!」
コリンは手放しで喜び、慎悟に挨拶する。
慎悟は、内心故郷に帰れることを喜んでいた。
軍事国家だなんて、穏やかじゃない。
「では、手紙を書きますね。
荷物は要りませんよ…すぐ出発しましょう。」
コリンはどこからか羽根ペンと紙を用意して、慎悟には読めない文字で文をしたためた。
やはり魔法の世界なんだなと思い知らされる。
それにしても、やけに急くコリン。
彼は、そんなに異世界が楽しみなのかそれとも…。
慎悟には理由は分からない。
しばらくして、コリンは魔法で手紙を飛ばす。
「では、行きましょうか。」
コリンは席を立った。
本当に旅立ちを急いている。
「別にそんなに急がなくても良いのに…。」
「楽しみなんですよ…旅が。」
何かあるかなと思ったが、コリンは詮索させてくれなかった。
調査隊と合流して、すぐに旅立つ。
慎悟はコリンを連れて帰るが…のちにこの世間知らずな少年がしたことにしこたま振り回されることになる。
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