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「なに、転校生だって。」
女子は噂が早い。
コリンが入学手続きのため、学校に来た時から少なからず噂になっていた。
しかし、菜緒の家にホームステイすると分かってからはあからさまに態度が違う。
「いいわよね、イケメンと同居なんて。」
普通は誰だってそう考える。
年頃の男女ならその先だって。
菜緒は人当たりは良いが、浮いた話はない。
とりあえず周りが友達という感じだ。
だから、噂が尽きないわけだが…もちろん悪意も入っている。
「別に同居というより、預かっているだけなんだよね。」
場所は教室…しかもボロを出さないよう事情を知っている者を同じクラスにしてしまうので目立つこと。
事情は言えないのでとりあえずはしょる菜緒。
「どんな知り合いよ。」
父が外国に出ることぐらいには話しているが…国際化のご時世でも外国人の知り合いは少ないと思う。
「取引先の会社の息子。」
適当なことを口にした。
実のところ、コリンのことは実家に足を運んだことさえないので分からないのだが。
とはいえ、本人は急かすので調べている暇もなかったが。
そんなすったもんだの中で、当の本人が先生に連れられてゆっくりと教室に入ってくる。
「…みんな、静かに。
今日からこのクラスに通うことになるコリン=フォンティヌス君だ。
日本のことはよく分からないだろうが、みんなで教えてあげなさい。」
誰も先生の話を聞いていなかった。
「僕はコリン=フォンティヌスと申します。
皆さんと勉学に励める日を楽しみにしていました。
よろしくお願いします。」
「なんだこいつ…?」
美形で礼儀正しい好少年…そりゃモテるわな。
男子の中には敵意を込めている者もいるが。
もはや波乱万丈。
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