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話はもちろん聞いていなかったので、授業の内容は誰も気にしなかった。
何のために学校があるのかもはや分からない。
あるのは肉食獣さながらの女子が草食男子一人をどう仕留めるという戦場だ。
「コリンくん、一緒にお昼食べようよ?」
「学校案内するよ。」
「宿題付き合って?」
「今日、うちに泊まらない?」
「さりげなく露骨なこと言ってませんか?」
昼休みになるとコリンは女子に取り囲まれた。
「ちょっとコリンは初めて学校に来たから案内…きゃあっ!」
ゴキュッ!
菜緒が止める間もあらばこそ。
彼女は女子数名からタックルを食らわされた。
変な音がしたが、動けないことはなかったので動く。
ただ、少しだけ右手の甲が熱かった…ひねったわけではないのだが。
「あーあ…これは大変だね。」
慎悟も手出ししきれない。
一般人に超能力は使えないのだ…不変の掟である。
「もう…なんとかしないと。」
菜緒は再びチャレンジしてもやはり女子の抵抗にはかなわなかった。
女の子って怖い。
「帰るまで待ったら?」
慎悟がアドバイスする。
「そりゃ、一緒に暮らしているわけだけど…。」
彼氏とはほど遠いがなぜか悔しい。
贈り物はしてもらったんだけど…あんな高そうなカードをもらって何も返さないのは失礼かなと思う。
せめて、なんかお返ししとけばなぁと思うぐらいにはコリンのことは考えていた。
何をもらったら喜ぶかは全く分からないが。
そういった意味では菜緒も授業は全く聞いてない。
「…とにかく…私はコリンのお世話をするように言われてるし…みんなちょっと…ぐべっ!」
次はみぞおちを狙われた。
もはや校内暴力である。
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