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コリンの本名はルーザスといい…ロプセンベルクの名家の出であった。
雷の王のカードを継承した女を便宜をはかる貢ぎ物としてコリンの父に献上された縁で彼が生まれたのである。
コリンの母エレンはもともとは平民の母ではあるけれど、平民の血を名家に混ぜて汚したくないとか英雄の血のパワーがあるとかいろいろ言われ…コリンが赤ん坊の頃に亡くなっている。
一説にはシチューの材料にすると英雄のパワーが身に付くと言われて本当に材料にされたかもしれないが、コリンが生まれた頃の話なので今さら確かめようがない。
おまけに、変なカード一枚を持っていただけのガキの命令に従って働かねばならない人間がたくさんいるのだからバカバカしくてやっていられない。
コリンがロプセンベルクを出たのはそんな状況に嫌気がさしたからだ。
自分のせいで成り上がることが出来ず、不満を抱えて生きるしか出来ない人間がいるのなら…自分が世界から消えればいい。
その方が楽だった…自分もそんなバカとつるむつもりはないのだし。
「生まれついて『特別』なんですよ、僕は。」
人間の社会で人間扱いされない彼は涙も枯れ果てた。
淡々と抑揚なく自分の身の上を語るコリンは全く表情が変わらなかった。
「特別って…譲り過ぎだろ。」
コリンは世界から消えねばならぬ罪は犯してない。
裁かれるいわれはないはずだ。
でも、背負っているものは16才にしてみれば重い…慎悟も似たようなものだから分かる。
「コリンって…誰も…仲間がいなかったの?」
菜緒は今にも泣きそうだ。
「まったくいなかったわけではありませんが、僕と関われば良い標的でしょうね。
彼らも救われるんじゃないですか?」
寂しくて、むしろ逆とは思わないのだろうか。
許可は取ったらしいが。
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