序章  精神論        ~生死論~

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ここはある電車の駅のホーム。 会社員が大きな口をあけて欠伸をしていたり、女子高生が彼氏の自慢話をしていたり、そんなありきたりな風景。 そして僕らはそんなどこにでもありそうな駅で、どこにでもいそうなファッションで、どこででもやっていそうな対面の仕方で話している。 「あなたは自分のやったことを認識しているのですか? あなたは面倒なほど面倒で、面倒くさいくらい面倒くささを持っていて、そしてやはり面倒な人間ということを自覚しているんですか?」 「それがどうしたっていうんだ?それにお前たちのほうが面倒な人間じゃないか。 お前たち探偵は事件をかき回して、そして、さも素晴らしい人間のように犯人の最後の自己防衛だけをぶっ壊す。そんな人間こそ面倒な人間だ。 そんなことするくらいならいくつかの殺人を止めればよかったじゃないないのか?」 確かにそれはそうかもしれない。僕らの罪深さは、たとえ神仏勢ぞろいしたところで無かったことにはできないだろう。 「でもあなたが他人の命に勝手に終止符を打つということは、自己中心的以外の何物でもありませんよ。」 「あぁ、勘違いしていた…いや、お前たちを買い被りすぎていたらしい。お前たちは、お前たちが否定した存在が今から死のうとしていることを確信していると思っていたのだが。」 「そんなことは言われずとも分かっています。そんなやり方で、そんな楽な方法で責任を取ろうとしているのが厚かましいと言っているんです。 そんなことで責任が取れるなら僕らだって取りたいですよ。」 「死刑というのはまさにそれで、□が自首したところで死刑は免れない。つまりはこの国では認められてる。だからこそお前も死ねばいいだろう?」 それじゃあ済まないということが分からないのだろうか?
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