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壱
苦しい・・・。
窓の外は生い茂る山の木々が美しく、朝の陽ざしを零し、幻想的な世界を作り出しているであろうが、なぜかそこまで行ける気がしない。
くそっ。せめてこの首に巻きつく腕さえなければ・・・。
腕!?
僕はようやく現状を理解した。だから首を前に倒し、思いっきり頭を振り上げた。
ゴン。
鈍い音がして僕は解放された。
「あぅー、痛いよぅ。酷いよ、ナツぅぅぅ・・・」
額を抑えながら、僕の首を絞めていたストが呻いた。
「寝ている人間に首絞めるやつに対して酷いもクソもあるか!!」
「それも一種の愛情表現だよ!」
「そんな愛情表現はねぇ!そんな愛情表現に誰が応えるか!!」
「えぇと・・・えぇとぉ・・・ナツが応えてくれる」
頬を赤らめて言うんじゃねぇ。
「いや、僕らはそんな関係を微塵にもミジンコ並みにも持った覚えはねぇ!!」
「うぅぅぅ。ナツ、つれないなぁ・・・。」
いや、そんなもん知るか。
僕はストを外に放り出して、着替えを始めた。
まぁ服は無難に同じブランドで揃えればいいだろう。
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