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数年前の冬。
私達は瀬戸際に立たされていた。
軽間部桜太。
赤潟恋。
そして私、坂谷緑の三人は物心付た時には既に仲が良かった。
俗に言う幼なじみ。
小、中、高と学校も一緒。
勉学に励み競い合い、人並み以上に遊び絆を深めた。
だが、それ以外にも絆を深める物があった。
それは人には無い特別な"能力"。
三人にはそれがあった。
能力者同士、普通の人とは分かり合え無い何かが三人の絆を深くした。
何時も通りの毎日を送っていたそんな明くる日。
あの男が現れた。
名前は大倉貴文。
彼は、密かに生きる能力者を支援していると言って、スッと私達の"縁"の中に入って来た。
それだけでは無い。
大倉は個々の能力を教えて欲しいなどと色々尋ね、桜太の家庭事情にも首を突っ込んだ。
大倉貴文は不気味な笑みを浮かべながら、桜太にこう言った。
「軽間部くん、紫藤家に復讐してみないかい?
私が力を貸そう」
この言葉が三人の絆に亀裂を入れた。
勿論、桜太は最初は断っていた。
けど、日を重ねる事に桜太は私達から離れていき。
一人で大倉貴文と会いに行くようになった。
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