587人が本棚に入れています
本棚に追加
私は止める事も言葉を掛ける事も出来ず、ただ見ている事しか出来なかった。
二人は殴り合いになり、次第に熱が上がり能力を使い始めた。
恋くんは能力を抑制し、桜太を止めようした。
けど、桜太は違った。
能力をフルに出し、殺す勢いで恋くんを攻撃した。
ヤメて欲しい。
もうヤメて!
そう言いたかったけど、呆然とし何も出来なかった。
暫くして、恋くんが倒れた。
その時、やっと身体が動いた。
桜太は倒れた恋くんから離れ、私に一緒に行こうと声を掛けた。
私は恋くんの傍に寄った。
傷付いた恋くんを治し、途中で目を覚まし小さな声で私に言った。
「桜太が心配だ。
アイツに付いて行ってくれ…頼む…頼む」
そう言って、意識を失った。
恋くんの治癒が終わり、私は黙って立ち上がった。
「分かった、一緒に行くわ」
恋くんを屋根の有る場所まで運び、桜太と一緒にその場から去った。
寒空の中、予報通りの雪がポツリポツリと降り出した。
最初のコメントを投稿しよう!