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「大倉様!
お手を退けて下さい!」
大倉の刃を掴んだ手から血が刃を伝い流れ、鍔と刃の付け根部分に溜まる。
「クソ!
離せ大倉!!」
坂谷はクナイを動かそうとするがピクリともしない。
何で動かないの!?
仕方無い!
「これで!!」
掴まれたクナイを手放し、ポーチに手を伸ばす。
フッ
「随分と武器をお持ちで…。
便利ですねー」
「!!」
冷たい感触が首から身体全体に伝い、背筋が凍る。
い、いつの間に…。
一瞬で背後に回るなんて…!
生唾を飲み、手が震え始める。
「"震え"。
身体は良い判断をしますね。
私に勝てないと察している」
前を向いていても分かる。
この男。
笑っている。
ポーチにしまっているクナイに手を伸ばせない。
身体が拒否反応を示している。
ここで退いたら…!
首のヒンヤリとした鉄の感触はまだ取れない。
動いて!
汗で濡れた手を伸ばし、クナイを手に取った。
「コノォ!!」
振り向きながらクナイを後ろへ投げ、大倉に攻撃する。
フッ
また消えた!
「"震え"が収まりましたか。
利口だと思ったのは、私の思い違いですね」
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