仲間と絆

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聞いた事も無い薬品の名前。 「そ、れを……私に…?」 震える指で注射器を差し、激しく咳き込む。 「ええ。 "stop"の効力は身を持って、知って貰えた筈。 私は素晴らしい科学者に恵まれています」 打ってから、タイムラグが一分飛んで二十秒。 まだまだ、改良の必要ですね…。 「"stop"は能力の根源である"TPOI"細胞を一時的に殺す事が出来る。 どれだけ優れている能力者であろうと関係無い。 逆らえる事は出来無い」 注射器をポケットとにしまい込み、昏倒しそうな坂谷に歩み寄った。 「ウッ……」 もうダメ。 立っていられない…。 膝を床に着け、激しく嘔吐してしまう。 「ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ! ハァ、ハァ、ハァ…」 苦痛の表情を見せる坂谷とは裏腹に、大倉は嬉しそうに笑みを浮かべた。 「ふむ……少し濃過ぎましたかね…。 扱いづらい。 やはり、元々薄めた物を作らせましょう」 坂谷の髪を掴み、グイッと顔を無理矢理上げさせる。 目は混濁し、呼吸は口から荒く小刻みにしている。 「大丈夫ですか坂谷さん? 直ぐ、楽にしてあげますから……」 忍刀の刃を坂谷の首元に当てて、小声で坂谷に言った。 「使えねェ奴は消えろ」 そう言って、忍刀を振り下ろした。
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