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生温い液体が飛沫を上げて部屋中に飛び散る。
私、死んじゃった。
憎い。憎い。
大倉貴文が憎い。
返して、恋くんを。
返して下さい。
大好きだった恋くんを……。
坂谷は目を瞑り、血の混じった涙を流した。
胴体は床に倒れ、大倉の身体を赤く染める。
真々田組の彼は元気かな?
彼は何かを成し遂げてくれる特別な人。
桜太。
私、恋くんの所に行くよ。
もしかしたら、私は恋くんが死んだ時からコレを望んでいたのかもしれない。
恋くん、今行くよ。
皆さんサヨウナラ。
サヨウナラ。
最後に。
「くたばれ、大倉貴文」
そう言って、頭だけの坂谷緑は絶命した。
血を噴き出しながら、胴体はうつ伏せになり。
髪を掴まれ、宙ぶらりんになった坂谷緑の頭は目と口から血を垂らし、睨んだ状態になっていた。
「頭と胴が離されたと言うのに、最後の最後まで喋るとは…」
面白く無い。
髪を離し、頭を吐瀉物の上へ落とした。
グチャっと音を発て、床をゆっくりと転がる。
「松村。
この刀は捨てなさい。
汚い。見るだけ吐き気がする」
グサッ
うつ伏せになった胴体の心臓を目掛けて勢い良く突き刺した。
「仰せの儘に……」
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