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エレベーターから出ると笠尾と少年は自分達の部屋に向けて、歩き出した。
「食堂で会おうな」
「はい」
二人は反対側の廊下を歩き始め、少年は重い足取りで歩く。
部屋に辿り着くと、ドアを開け、吸い込まれようベッドに寝転んだ。
疲れた。
最近、ただ疲れるだけが多い気がする。
心魂を少しでも、持続させる為に試行錯誤しているけど、全く上手くいかない。
それとも、俺のやり方が悪いのかな?
真下さんが稽古に付いてくれた時は極限状態の時、スッと心魂が出た。
あれ以来、心魂は全く変化しない。
黒煙の儘で、自分の思い通りに形作れるのは便利だが、強さに欠ける…。
ふと、少年の頭に朝一の心魂"金"が脳裏に浮かぶ。
朝一の心魂技、"Gold emperor"。
金色の翼を羽ばたかせ、神々しく舞う金の皇帝…か。
素直に、あれは凄かった。
俺もあんな風に心魂技を出せたら……。
皆を守れる。
心魂だけ強くなってもダメだ。
剛拳も柔拳も、同時に強くならないと!
少年は両手を前に出し、グーとパーを作り眺める。
やっぱり、"あそこ"に行くしかない。
自分の為にも、仲間の為にも。
グッと拳を握り締めると少年は起き上がり、部屋のドアを開けた。
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