真々田組

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―――――――――――――― 社長室 「そうか。 君もか……」 真々田は椅子から立ち上げると訪ねて来た少年をソファーに座らせた。 少年はソファーに浅く座り、口を動かした。 「君もかって、他に俺と同じような事を言いに来た人が?」 「笠尾くんが来たよ」 「笠尾さんが?」 「ああ。 君とは違うが、強くなれる場所を教えて欲しい、と頭を下げに来たよ」 「そう…ですか」 少年は目線を下ろし、 「戸次さんと綿貫さんは?」 と訊いた。 「いや、その二人は来ていない。 ……だが、驚いた。 君達がここまで自身を高めたいと願うとは……」 「そうですか…?」 「言って終えば、私と君達の繋がりは"私の出した条件"だ。 ここまで引き込んで掛ける言葉では無いが…。 何も、そこまでする必要は無い」 「…………」 少年は俯き、 「確かに、そうかもしれません。 けど、ここまで来ちゃいましたから」 と笑いながら言った。 「……そうか」 真々田も笑い返し、机の引き出しから少年に一枚の紙を手渡した。 「これは?」 少年が訊くと、真々田は手紙だと言った。 「"道場山"に行くのだろ? あそこには電話線が通っていないからね。 連絡は難しい」
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