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「それで、この手紙の意味はなんです?
別に手紙が無くても……」
「親しい中にも礼儀あり。
幾ら、親しい友の家族とは言え、アポなしで訪ねるのは相手に失礼だからね」
「なるほど…」
手渡された手紙を手に持ち、ソファーから立ち上がり、一礼する。
「ありがとうございます。
…じゃあ、"道場山"に行ってきます」
「気を付けて」
そう言って、真々田は微笑んだ。
「はい!」
大きく返事をし、少年は社長室を後にする。
廊下を歩き、エレベーターホールで足を止める。
俺がこれから向かうのは桜雅の住む"道場山"だ。
ここから始まった。
剛拳と柔拳を習い身に付け、紫式部を継いだ。
俺には能力が無い。
でも、身体は能力者の身体だ。
そのハンデを補う為、俺はレベルを一段階上げないといけない。
そして、心魂技を身に付ける。
桜雅は心魂技を使えていたから、何か鍵になるだろう。
剛拳も柔拳も、まだ完璧じゃない。
また、右月ちゃんと左月ちゃんに教えて貰おうかな。
チーン
エレベーターの扉がゆっくり開き、目を上げると、中から笠尾、戸次、綿貫の三人が出て来る。
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