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私は何に期待していたのだろうか。
私は繁華街をぶらぶらと歩く。行くあてもない、何をするでもない。
ざわめく人々。夜だというのにこの街の人間は面白おかしく街を騒ぎ立てる。暴力で解決しようとする低俗な人間達。色欲にまみれた女性達に群がる男性達。吐き気がする。
まるでサルのようだ。それを言うなら私もサルの一種だか。
「オイ、アンチャーンヨォー、カネホシインダヨォーカネ。カーネカネダヨォ」
珍しい鳴き声をするサルだ。私は笑う。こんなサルに私は構っている場合ではないのだ。夢を見つけなければならない。
サル達は蛍光灯に群がる蛾のごとく、私を取り囲む。いや、生ゴミに群がる蠅か。耳障りな羽音が聞こえる。
「キイテンノカヨォー、アーンチャーン」
ああ、消えればいいのに、こんな蠅共。
私はそう口の中で呟いた。
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