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「え、えっと、私は……」
きっとでたらめ言ってるだけだから適当にはぐらかそうかな。
「ち、違うよー。人違いだよ。お姉さんもう帰らなくちゃ。君も早く帰りなよ?」
私が踵を返した時、くすくすと笑いが聞こえた。その笑い声は反響して響き渡る。
まるで男の子が異質なモノに変わってしまったように。
「帰る場所なんてないよ」
「君も」
「オレも」
その少年の声が耳障りな耳鳴りとなって頭の中に入ってくる。
私はそれに構わず走り続けた。それを振り切るように走り続け、転んでも構わずに、早く家に帰らなくちゃ。早く、早く。
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