1.

11/14
前へ
/40ページ
次へ
その時だった。 小さな、小さな音を立てた。 心臓がドクンと跳ねたのだ。 ……へっ? それは一瞬で、あまりにも小さな音で。 これが俺の中でのきっかけとは気が付けなかった。 「やっぱり居ましたね。」 新たに現れた人物の声に掻き消されたのもあるかもしれないが。 声の方へと首を動かすと、んふふと笑みを浮かべるひとりの男が立っていた。 笑顔なのに、気のせいだろうか。 ビクッとする怖さがあった。 ソラ「……あっ、ミナ。 今日バイトじゃなかった?」 ミナと呼ばれた男はえぇとだけ答えてふたりに近付いてきた。 そんな男にハッとしたのは家主だった。 さっき見せた笑顔は消え、男から視線を逸らしていた。 どうしたんだろう……? 気になる俺は未だそこにいた。 ミナ「……シキ? あんたさ、別れるって言いましたよね!?」 家主「……っ!」 よくわからないが、どうやら家主には恋人がいるようだ。 あの時喧嘩していた人だよね? ……どんな人だろう。 何となく気になる中、男は室内へと入っていった。 今の人、誰だろう……? 気になるけど、窓が閉められてしまって会話がわからない。 そんな俺の元にソラさんは気が付いたらいた。  
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

105人が本棚に入れています
本棚に追加